眼瞼下垂
眼瞼下垂があると上まぶたが持ち上がらないため、瞳孔が隠れ、視野が狭くなり、見た目が眠そうに見られます。上方が見えにくくなるため顎を上げて物を見るようになり、肩の筋肉に無理な力が入り、肩こり、時に頭痛の原因になります。上まぶたは眼瞼挙筋とミュラー筋の2つの筋肉が収縮して持ち上がりますが、それら以外で重要なのが眼瞼挙筋と瞼板をつなぐ挙筋腱膜です。
挙筋腱膜が伸びていたり、瞼板から外れていたりして瞼の開きが弱い状態が
腱膜性眼瞼下垂。
皮膚がかぶさって視野が妨げられるのが皮膚弛緩性眼瞼下垂。これは老化によるもので、かなりご高齢の方に見られます。先天性の眼瞼下垂は多くは挙筋機能の低下によるものです。下垂の程度により軽度、中等度、重度に分けられますが、治療は手術となります。
軽度、中等度の場合、上まぶたの皮膚を切開し挙筋腱膜を短縮、皮膚の余りがある場合は皮膚切除も一緒に行います。また、皮膚が弛緩してかぶるために視野が妨げられる皮膚性の眼瞼下垂の場合は余剰皮膚の切除のみ行います。
重度の場合、眼瞼挙筋自体が機能せず、腱膜の短縮では難しく前頭筋つり上げ術が必要になります。
当院では主に腱膜性眼瞼下垂に対する挙筋腱膜短縮による眼瞼下垂手術を行っております。
- まぶたが眠そうに見える
- 慢性の肩こり、頭痛に悩まされている
- 視野が妨げられて前が見えづらい
上記症状のある方は保険診療で治療可能なのでご相談ください。手術費用は自己負担が3割の場合、眼瞼挙筋前転法(挙筋腱膜を短縮)が両瞼で約5万円になります。
合併症と起こりうること
出血、感染、内出血、腫れ、兎眼、皮膚の知覚障害、予定外重瞼線、左右差など
傷痕、傷痕の赤み硬さなどがあればステロイドの局所注入を1、2回行ったり、6ヵ月が経過していれば傷痕のみの切除手術を行うことがあります。
左右差、まぶたが開きすぎる、開瞼不足、再下垂などがあれば6ヵ月過ぎて再手術を行うことがあります。
わきが
わきの皮膚にはアポクリン汗腺とエクリン汗腺の2種類の汗腺があり、これら2種類の汗が混ざって汗を形成しています。アポクリン汗腺は粘稠性が高く、脂質、タンパク質、鉄分などを含みます。この汗が皮膚の常在菌に分解されると低級脂肪酸になり、アンモニア、皮脂なども混ざり独特の体臭を呈します。
一方、エクリン汗腺は約99%が水分で、残りはNaClや尿素などでさらっとした汗を出します。
わきがは、アポクリン汗腺が発達しているため、においが強く、これが不快なにおいと感じられる場合に言います。
汗じみ、黄ばみの原因にもなり、発症には遺伝的背景(ご両親のどちらかがわきが)があることもあり、また、耳垢が湿っている可能性も高くなります。
明らかに臭いの強い場合、制汗剤や日常のケアだけでは症状を抑えることができませんので手術適応となります。
腋臭症手術について
局所麻酔下に剪除法(皮弁法)での手術を行っています。剪除法はわきの皮膚に約4㎝前後の切開を行い皮下を剥離、直視下にアポクリン汗腺を取り除く方法です。術中の止血をしっかり行った後に閉創しますが、皮膚が下床に密着するようにタイオーバー固定(ガーゼや化繊綿による圧迫固定)も行います。この手術は術後の固定が重要で、この固定をおろそかにすると手術後の皮膚の色調、質感などが損なわれるため、この時期は患者様のご協力も必要です。数日間はゆっくりしていただくことが大事です。
基本的には片側ずつの手術をお勧めします。
剪除法(皮弁法)は保険適応になるので、両側でも自己負担が3割の場合で約4万円になります。また、手術でにおいが完全になくなるというわけではありませんが、日常生活をする上では楽にはなります。術後の合併症として傷の赤みや固さ、皮膚のひきつれなどがあります。何か生じた場合、できるだけ正常に近い状態に戻るようにケアをしていきます。男性の場合、手術部位の毛が少なくなる、なくなる可能性もありますのでご了承ください。